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今回は、「デザイン思考」と「インプロ」(即興コメディ/演劇の教育手法)について書きたいと思います。
先日、BBQ でポークバックリブを料理しました、日本即興コメディ協会の加古です。
さて、数年ほど前から「デザイン思考」はイノベーションのための思考法として話題となっていますので、ご存知の方も多いのかと思います。
中には、デザイン思考を取り入れてみた、デザイン思考のワークショップを受けた、なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、当協会でも自社のイノベーションのためにインプロを効果的にデザイン思考と組み合わせたいといご要望をいただき、インプロ(即興コメディ/演劇の教育手法)の観点から、調査し、その応用を実施しております。
インプロはデザイン思考に必要なメソッドの一つ
なぜ、デザイン思考とインプロの関連性に興味を持ったかというと、インプロを最も教育に取り入れている大学の一つ、スタンフォード大学にデザイン思考のための学科横断型のプログラム d.School があり、その関係性を調査したからです。
少し、デザイン思考とは離れますが、スタンフォード大学には、NHK で放送され話題を呼んだ、『スタンフォード白熱教室』に登場した、エグゼクティブ・ディレクター、ティナ・シーリグが教える起業家育成コースの集中講座があり、徹底したブレーンストーミングを実施します。その集中講座では、「否定・肯定」や「Yes, And」など多くのインプロのエクササイズを実施しています。
スタンフォード大学では、専属のインプロの先生がおり、起業家を目指す生徒は、1学期をかけてみっちりとインプロのコースを受講するそうです。
そのスタンフォード大学の d.School がまとめた「デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド」のひとつのメソッドにも「インプロ」があります。
なんだ、たった39分の1か?とお思いの方もいらっしゃるかと存じますが、日本人にとっては、それ以上の重要な要素なのでは?と私は考えています。
なぜなら、「デザイン思考」がより高度な
- コミュニケーション能力
- 創造性
- シミュレーション能力
を必要とするからです。
デザイン思考に必要な能力に寄与するインプロ
例えば、「高度なコミュニケーション能力」は、デザイン思考の肝でもある「共感」に必須の能力です。デザイン思考は、ユーザー中心の思考法です。ユーザーに焦点を絞り、ユーザーの抱えている課題や、更にはユーザーすら気づいていない課題をヒアリングを通して探っていきます。ここで、事前に準備した質問をぶつけて、その回答を記録するだけでは「共感」にはなっていません。より深いコミュニケーションレベルで、相手の立場になり深層を探っていかなければ、真に共感できず、イノベーションのきっかけはつかめないでしょう。
また、創造性については、単に各個人が能力を発揮するだけでは不十分です。既成概念やリスクから解き放たれたマインドセットの「チーム」でブレーンストーミング等を用いて共創することで、よりイノベーションに近づく可能性が高まります。
更にシミュレーション能力も重要です。例えばサービス・プロトタイプにおいて、実際の現場での試行の前に、会議室等での顧客、提供側に別れたサービス・シミュレーション(ボディ・ストーミング)を実施することがあります。このシミュレーションは、よりリアルであればあるほど効果的ですので、恥ずかしがらずに全メンバーがそれぞれの役になりきって、シミュレーションに参加できれば、非常に有効で、気づきも深く多いはずです。
しかしながら、人前で演じたり、話したりすることが苦手と感じる人が多い日本人にとって、デザイン思考のプロセスを回していくことは、思いのほか難しいのかも知れません。また、普段から共創ができていない組織において、このプロセスは単なるこなすだけのもの、となってしまうのではないでしょうか。
そこで、「デザインのための39メソッド」の一つ、更には高度なコミュニケーション、創造性、シミュレーション能力を訓練することのできる、「インプロ」をぜひともデザイン思考関係者、例えばデザイナー、コンサルタント、サービス / UX デザインなどなど、デザイン思考を使ったサービスを提供されている方々、もしくはデザイン思考を自社イノベーションのために取り入れたいと考えている方々におすすめしたいのであります。
デザイン思考の前に応用インプロ・トレーニング
日本即興コメディ協会では、デザイン思考の前に実施いただける即興コメディ手法を使ったトレーニングを提供しています。当トレーニングの詳細につきましては、気軽にこちらにてお問い合わせください。
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