チームの心理的安全性研究の第一人者であるハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授は、
「学習する組織においては、問題やミスは報告されなければならず、そのために全員が学習することができる。」
出典: チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ, 2014, エイミー・C・エドモンドソン
としています。
失敗を知り、失敗についてシェアし、心理的安全性を醸成する
チームが学習するためにはメンバーが失敗し、そのことをシェアすることが前提となります。また、失敗について知り、シェアされた失敗がどの範囲にあてはまるのか、「避けうる失敗」なのか「複雑な失敗」なのか、はたまた「知的な失敗」なのかによって、対応を変えることができます。
そのためには失敗をオープンにしても「何で失敗するんだよ」と非難されるようなことのない心理的安全性をリーダーがメンバーと一緒に作っていけるかが大きなポイントとなります。
インプロ(即興コメディ/演劇)では失敗が認められる
インプロ(即興コメディ/演劇)では、基本的に失敗することが認められています。なぜなら、ペアやそれ以上の人数で台本や打ち合わせのなく演じられるシーンには、常に失敗が想定されるからです。
失敗を認め合う訓練のために、インプロには失敗を誘発するようなエクササイズが多く存在しています。エイミーエドモンドソンは著書の中である医療機関で心理的安全性が高ければ失敗は少なくなる、という仮説が間違っていたというエピソードを紹介しています。心理的安全性が高まればより多くの失敗を共有するようになり、結果心理的安全性の低い失敗を隠蔽するような組織と比較して失敗が多く報告され、チームが学習できるというのです。
失敗をオープンにする、認め合うトレーニング
インプロのエクササイズでは失敗を誘発し、失敗したことをオープンにし、周りはそのことを認めます。失敗してオープンにした人、失敗を認める人が入れ替わります。
すると、そのこと自体に慣れ、失敗をオープンにすること、失敗の認め合うことの方法を学びます。そうすることにより心理的安全性がより高まり、学習する組織に近づくのです。
心理的安全性について知り、体験的に学び、広める、心理的安全性アンバサダー
心理的安全性が高い状態やその醸成方法を体験的に学び、自らの現場で伝え、広めていく心理的安全性アンバサダーは、失敗を知り、失敗を認め合うことができます。
自分だけが変わっても、と思われる方も多いかも知れません。しかし、心理的安全性は単に知識を得たり目標を掲げたりすることによって醸成されるようなものではありません。まずは、リーダーがその状態や醸成方法を知り、失敗をオープンにし、認め合うことから始まると考えています。そして、周りに影響を与え、そのマインドセットが徐々に組織内に広がって行くのです。