新型コロナウイルスの影響が続き、「在宅7割」が要請される中、テレビ会議にも慣れたことと思います。慣れた分その課題も浮き彫りになっています。
そんな中、テレビ会議の余白「雑談・相談」、俗に言う「雑相(ザッソウ)」が重要だといわれています。対面であれば、必要なことだけでなく、休憩中や会議の前後に雑談したり、そのままライトな相談をしたり、と余白を意識することなくつくることができていました。しかし、テレワーク下では、意識的に余白を作らなければ、なかなか雑相を生むことは難しく、そのことによりストレスを感じる人も多いようです。
雑談のハードルを下げる一言とは
テレワーク下では、雑談や相談ができる余白をいかにつくるかがチームの心理的安全性醸成の意味でも重要です。それでは、Zoom 等を使ったオンライン会議の前後や朝礼夕礼の余白として「雑談」をどうやって促せばよいのでしょうか。
騙されたと思って一度試していただきたいのが、雑談のテーマとしてたった一言こう伝えてみてください。
「全く人に言うほどでもない、とってもくだらない出来事をみんなで会話しましょう」
え~っ、たったそれだけ?と思われるでしょうが、これだけです。言い方は様々あると思いますが、ハードルを極限まで下げる一言を伝えるだけで「何を話しても大丈夫」という心理的安全性が生まれ、雑談をしやすい雰囲気をつくり相談につなぐことができます。
新人からのトラウマは簡単には癒えない
オンラインで朝礼や夕礼をやっているけどうまく行かない、と悩まれるマネージャさんも多くいらっしゃるかと思います。例えば朝礼の恒例である「1分間スピーチ」というものがあります。「1分間スピーチ 嫌い」検索してみると驚くほどの検索結果を得られます。
新人のときに毎日やらされた、とあまり良い思い出ではない方も多いことでしょう。なぜ「1分間スピーチ」が嫌な思い出なのでしょうか?
もちろん人前で話すこと自体苦手、という方も多いでしょう。更に何か良いこと、役に立つことを言わなければならない、というプレッシャーにも原因があるようです。
お笑い芸人さんだってハードは下げる
これはお笑い芸人さんであれば「これからお笑い芸人さんが登場して、とてもおもしろいお話をしてくれます」と紹介されるようなものです。
プロだから当たり前だろう、と思う方もいらっしゃるでしょうが、お笑い芸人さんであっても笑いのハードルをわざわざ上げた状態では登場したくないのです。ですので「名前だけでも覚えていただければ…」というような控えめな枕詞で始めるのです。
雑談なのだから徹底的にハードルを下げる
これと同じ現象が「1分間スピーチ」のたぐいには発生しやすくなります。雑談といっているのだから、ハードルは極限まで下げるべきです。ハードルを下げて何を話しても評価や非難されることはないという心理的安全性を確保した上で雑談すべきなのです。
そうすることによって、ようやく、ちょっとした「相談」をしてみようと思う。雑談ですら「良いことや役に立つことを言わなければ…」と思っている部下は、気軽に先輩や上司に相談したいとは思わないでしょう。雑談すらハードルが高ければ、相談自体がちゃんとしていなければならないと考えてしまうのです。
ハードルを下げる一言に付け加えるとすると
雑談のハードルを下げる一言には、「ウケる必要もない」、「役に立つ必要もない」という意味が込められています。むしろウケてはダメで、いかに「ふ~ん」、という程度の雰囲気を醸し出せるかを目指します。
これが上手くいくと驚くほどその後の雑談が弾んだりします。更に上司やリーダーが率先して人にいうほどでもないくだらないことを言うべきなのです。ちょっとした失敗談やこだわり、何でも構いません。上司が率先してウケなくても良い雰囲気が出せれば、雑談は上手くいくはずです。
もし、これがうまく行かないのであればチームとして少々心配なことがあります。それは、雑談をも許さない雰囲気がもともとチームにあるのかも、ということです。
メンバーに時間をとって雑談を促しても「無理・無駄・無意味」という空気が勝っているのかも知れません。その場合は、リーダー自ら心理的安全性の醸成を意識して、雑談ができる雰囲気を時間をかけてつくるしかありません。
今回は、オンラインでもできる相談につながる「雑談」の促し方について書いてみました。
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