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話題の映画「沈黙 - サイレンス -」スコセッシ監督の映画作りの根底に流れる「即興(インプロ)」の精神とは

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先日の即興コメディフェスの盛り上がりの余韻が抜けない日本即興コメディ協会の加古です。

ワークショップあり、即興コントライブあり、即興スピーチNo.1決定戦ありの盛り沢山の内容に、多くの方に爆笑いただき、ありがとうございました。

さて、マーティン・スッコセッシ監督の「沈黙 ~ サイレンス ~」が2017年1月に公開され話題となっておりますが、そのスコセッシ監督の映画作りと即興(インプロ)の精神「Yes, And(イエス・アンド)」について書きたいと思います。

「タクシードライバー」のあのシーンも即興だった

スコセッシ監督といえば、古くは「タクシードライバー」が有名ですが、その中のロバート・デ・ニーロが鏡の前で一人芝居をする有名なシーンも即興だったと語っています。

Martin Scorsese, Robert De Niro on how classic ‘Taxi Driver’ line went from improv to iconic

また、以前に私が書いた別ブログの記事でもレオナルド・ディカプリオが主演した「ウルフ・オブ・ウォールストリート」では、話の筋だけの台本でセリフのほとんどはその場で出演者が即興で演技したものだったことを取り上げました。

この様に、スコセッシ監督の映画作りには即興(インプロ)の要素が多く取り入れられています。

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演者のアイデア全てを肯定的に受け入れる雰囲気づくり

さて、今話題の「沈黙 ~ サイレンス ~」ですが、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のように筋だけの台本ではなかったようです。しかし、好演が海外でも高く評価されているイッセー尾形さんのインタビューから、この映画にも即興の精神が脈々と流れていることが垣間みることができます。イッセー尾形さん曰く、

「撮影は楽しい日々で、監督、スタッフ、この2人からおおいに刺激を受けた。役者としてこんなに幸せなことはない」と満足げ。スコセッシ監督の演出については、「役者がどうやるかをまず見てくれて、それを否定する言葉は1回もなかった。それによって役者としてのアイデア、感性が研ぎ澄まされていった。日常とはかけ離れた過酷な物語だが、清らかなものが残っている。それは一生続くと確信している」と心酔していた。

出典: 映画.com『イッセー尾形、スコセッシ演出に心酔「清らかなものが一生残る」』、2017年1月12日

とのことです。

演出に厳しいとも言われている、スコセッシ監督ですが、「否定する言葉は1回もなかった」とのこと。これは正に即興演劇(インプロ)の精神「Yes, And(イエス・アンド)」です。

「Yes, And」 とは、単に「Yes」と肯定するだけと思われてしまうかも知れませんが、Yes で肯定するだけでなく、相手のアイデアを一旦受け入れ、更にアイデアやポジティブな反応を付け足していくコミュニケーション方法です。

インプロの世界では、この Yes, And を非常に大切にしていて、「相手を肯定して受け入れ、ポジティブにアイデアを返す」訓練を多く行います。

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スコセッシ監督が作ったのは「心理的安全性」

イッセー尾形さんが語った現場の雰囲気から、スコセッシ監督は、「Yes, And」 で、役者さんの心理的安全性を確保していたのだと思います。

役者さんが自分の演技を工夫し、チャレンジし続けられる雰囲気を常に作り、「アイデアや感性を引き出した」のです。

そして、一度も役者さんのアイデアを否定することなく映画撮影を進めた結果、素晴らしい作品が生まれ、出演者の満足度も高いものになったのではと考えます。(「心理的安全性」の重要性についてはグーグル社の研究結果からも明らかになっており、当ブログの別記事でもご紹介しています)

話題の「沈黙 -サイレンス-」をこれからご覧になられる方もぜひ、役者さんのアイデアやそこから生まれる迫真の演技に注目されて観られてはいかがでしょうか。

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