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名作「ショーシャンクの空に」には続きがあった!? ティム・ロビンスが仕掛ける社会貢献、刑務所ドラマの第二章とは?

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「ショーシャンクの空に」の第二章は、インプロ(即興演劇)を活用した社会貢献だった

好きな映画をいくつか挙げろと言われれば「ショーシャンクの空に」をその一つとして挙げます、日本即興コメディ協会の加古です。

さて、映画「ショーシャンクの空に」は、ショーシャンク刑務所を舞台に冤罪によって投獄された有能な元銀行員が腐敗した刑務所の中でも人間関係によって希望を持ち続けるという感動の名作です。観たことがない方はぜひ機会があればご覧ください。その映画で冤罪で投獄された元銀行員として、主演したのがティム・ロビンスです。

今回は、ティム・ロビンスが実は今もなお刑務所で素晴らしいドラマを演じていると言うお話をご紹介したいと思います。

重罪人向けの更生プログラムとその成果

演じている、と言っても彼と Sabra Williams が仕掛けるのはアートを活用した服役囚向けの Actors Gang Prison Project という更生プログラムです。

演劇の教育手法であるインプロを使って、”Maximum Security Prison” と呼ばれる、最高レベルのセキュリティで守られた刑務所(殺人などの重犯罪者用の刑務所)でワークショップを実施しています。

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8週間に及ぶプログラムは commedia dell’arte (コンメディア・デッラルテ)という16世紀のイタリアやフランスで始まった古典的な即興演劇を基に実施されています。ワークショップでは、ピエロのように化粧をしたり、マスクを着けたりして即興で様々なキャラクターでシーンを演じます。

Actors Gang Prison Project の10年にも及ぶ活動は、再犯率の低下という素晴らしい成果を挙げており、2017年にはカリフォルニア州内の10もの刑務所で実施される予定とのことです。

当プロジェクトの参加者で、殺人罪で18年服役した受刑者だった Bisbano 氏は再犯率の低下よりも更にこのプロジェクトの影響について答えています。

Beyond recidivism, the Actors Gang Prison Project work has led to a nearly 90 percent reduction in behavioral infractions for participants, one of the unexpected effects the program has had outside of class. “What it did was it started to change the culture on the yard,” Bisbano says. “There were no racial boundaries in class. The African-Americans, the whites, Mexicans, Hispanics, we were all playing together. It’s very rare in prisons, especially in California. When we had our presentations, we would invite other inmates to come watch. Then they would see that their homeboy was up there dressed up like some character, acting like a fool. It started to break some boundaries. We had something special in common.”

出典: “Tim Robbins’s Prison Improv Classes Make Inmates Less Likely to Re-Offend“, November 14, 2016, The Vindicated.

抄訳: Actors Gang Prison Project の活動は、再犯率の削減もさることながら、参加者の違反行動を90%近く削減しました。また、プログラムはクラス外にも予期しない影響を与えました。 「それは、所内の文化を変え始めたことでした」と Bisbano 氏は言います。 「クラスには人種の境界がなかった。 アフリカ系アメリカ人、白人、メキシコ人、ヒスパニック系がいる中、私たちは一緒に演じていました。 これは刑務所、特にカリフォルニアでは非常に珍しいことです。 私たちが演じるときは、他の受刑者に観てもらうことにしました。 それで、彼らは、仲間が様々なキャラクターにドレスアップし、滑稽な役柄を演じているのを目の当たりにしました。 それはいくつかの境界を壊し始めました。 我々は何か共通の特別なものを得たのです。

なぜ、受刑者にインプロ(即興演劇)なのか?

ティム・ロビンスは CCTV America インタビューでその理由は「Yes, And」だと答えています。(インプロの重要性を語るのは18:15 辺りです)

Yes, And はインプロの基本精神で、「Yes (相手を受け入れ)、And(アイデアを返す)」という意味です。

要約するとティム・ロビンスは、受刑者にとってのインプロの重要性を

受刑者にとってインプロが重要なのは、刑務所の中では全てを禁止される、「No、No,No,,.」の世界で、インプロは、全く正反対の「Yes, And、Yes, And、Yes, And…」の世界を作ることができる、ということだ。Yes, And でおもいやりを持って相手に接し、相手を輝かせことを参加者に促すことができる。また、それは、彼らの元々持っている信じられないようなイマジネーションを呼び覚ますことができる…

と答えています。

刑務所内はあれもこれもやってはいけないという「No」世界であり、ただでさえ感情表現やそのコントロールに問題があり、罪を犯してしまった人々を復帰させるには難があります。

インプロ、特にシーンを「 Yes (肯定)」と「 And (提案)」で紡いでいくワークは、安心して喜怒哀楽の感情表現ができ、より人間らしい人物へと受刑者を変えて行けるのだと思います。

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日本でもぜひ取り入れたい

日本の再犯者率は約5割で上昇傾向だと言われています。もちろん、ティム・ロビンスが活動するカリフォルニア州に比べれば日本は、犯罪率が低く安全です。しかし、再犯者率が5割ということは、更生プログラムが上手く行っているとはいい難いのではないでしょうか。

今後、日本でもインプロを応用した受刑者向けの更生プログラムが実施されればと切に願います。インプロが受刑者の方々の更生に役立つよう、日本即興コメディ協会も協力していければと思います。

インプロは様々な分野に応用が可能な「最高の体験学習ツール」です。ご興味おありの方がいらっしゃいましたら、気軽にお問い合せください。

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